能登半島地震
- Itsumi Nishikawa
- 2024年5月9日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年5月10日
2023年秋、アメリカ在住の新郎新婦の結婚式をプロデュースしたのは今回の地震で大きな被害を受けた輪島市でした。

2024年5月8日、私もようやく現地に足を運ぶことができた。
車を走らせ能登に近づくにつれ、ひび割れてもりあがった道路や崩れ落ちた屋根に
被害の大きさを目の当たりにする。
前日のリハーサルディナーで食事をしたイタリアンレストランも、散歩した街中も、
里山まるごとホテルにも、今はあの時の姿は無い。
地震が起こってからさまざまなメディアやソーシャルネットワークで
情報を収集し今自分にできることを考えてきた。
個人のボランティアの受け入れ態勢が整うまでは、日々ニュースで悲惨な現状を目の当たりにしながらも
身動きが取れず、きっとみんな何もできなくてもどかしい気持ちでいっぱいだったと思う。
でも今はどうだろう。どのくらいの人が今の能登の状況を把握しているのかな。
今もこんなに街はめちゃくちゃで、たくさんの人が助けを必要としていることに
どれくらいの人が気付いているのかな。

結婚式を一緒につくってくれた里山まるごとホテルの亮さんは今、
「能登復耕ラボ」を立ち上げてボランティアの活動拠点を提供、助けが必要な被災者のためのハブになって日々情報を発信し続けている。



今回のボランティア参加で私はとても貴重な出逢いをもらいました。
同じくボランティアとして岡山から飛行機で来ていたデンちゃんは、「教えない」お菓子教室を営んでいる。
被災者の子供達のために、一緒にみたらし団子を作ろうと企画してくれた。
団子は丸いものだと決めつけている私をよそに、
彼女は子供達に「自分の好きな形でお団子を作っていいよ」と言った。
自分の好きなキャラクターを真似てみたり、自分の名前のイニシャルを作ってみたり、
お家に持ち帰ってプレゼントすることを考えてお父さんが好きなお花を作っている子がいたり。
中には途中から作りたくないと言って生地をもて余している子もいたけど、
そこにいる子供達全員の表情を見て、真っ直ぐにそれぞれの立場になって心を通わせている彼女の姿に私は心洗われる気持ちになった。
子供達は本当に、楽しそうに思い思いにお団子を作ってた。

こうしなきゃいけないとか、すべきとか、周りの人に合わせたりすることなく
自分でしっかり考えて自分の思うように行動することは何も間違ってないということを教えてくれる。
多くの日本の教育の中では自分で考えて、自分の言葉で何かを表現する力をつけるのは難しいように私は感じます。
自分の意見を発信するのは簡単なことではないし、大きな波に乗っかっている方がずっと楽だから。
自分自身をしっかり理解している人だからこそ、何をしても良いと自信を持って、自由な発想を人に促すことができるのだと思います。
彼女が今回なぜ縁もゆかりもない能登半島へボランティアへ来たかというと、
自身のお菓子教室で子供達に能登復興への募金を募った際に
「何に使われるか分からないから、わたしたくない」という言葉を聞いたからだと言う。
私も、彼女からその言葉を聞いて、なんとも言えないショックを受けた。
人を助けることに、「疑う」気持ちを植え付けさせてしまったのは大人の責任だと。
だから自分は自分の足でその地を踏んで、何ができるかを子供達に証明したかったんだと彼女は言った。
自分一人にはどうにもできないって無関心になるんじゃなくて、一人でも必ずできることがあるって
みんなが自分で考えて心が向く方へ行動して、その気持ちがたくさん集まって、
それが大きな力になることを忘れないでほしい。
国や自治体、大きな存在がないと大きく物事は進まないかもしれないし、
自分には技術もないし一人の力では何も役に立てていないかもと思うこともあるけど
だから何もしなかったら誰も救われないし、何かできることをしたい。
もっと力になりたくて私はまだまだもどかしい。
今回の震災の後の現状は、私がこのウェディングを通して伝えたいと思っている環境問題への関心と共通するところがあると思う。
私は、彼女の「教えない」を心から応援したい。
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